2020年02月06日

体調不良のこと #2

2年前にも同じタイトルで書いたのですが改めて。
あまり大っぴらにしたくないという気持ちもありますが、産声をあげたばかりの『革小物手縫いの会』や今の僕のことを説明するには、やはり避けては通れないところ。なので、くどいかもしれませんがまた書きます。少々長いですが、ぜひお読みいただけると嬉しいです。


それにしてもここ数年は精神的にかなりきつい時期でした。
さかのぼること6年前の春。突然顔がかゆくなったかと思うとたちまち赤く腫れあがってしまったのです。

もともと色白なので肌が強いとは言い難いですが、それまではさほど大きな肌トラブルもなく生きてきました。なので最初顔がかぶれたようになった時、「あれ、今年はPM2.5が多いのかな… それとも、とうとう花粉症デビュー?」くらいの感じでなんの疑問もなく当たり前のように皮膚科へ直行。

そしてお決まりのように処方されたステロイド(当時は薬に対して何の知識もなく、ステロイド?副作用?何?といった感じでした)。指示通り3〜4週間ほど使っていたらすんなり治まり、「やっぱ薬ってすごいな〜」なんて思っていたのですが、やめたらまさかのリバウンド。そこからが悪夢の始まりでした。

その後、別の病院にかかっても結局原因はわからずじまい。それどころかその時に出された塗り薬が合わずにさらに悪化→違う病院で違う薬をもらう→また合わずに違う病院へ。。。の繰り返し。しまいには「これが合わへんのやったらもう出す薬ないわー」と軽い感じで最後通告される始末。

この頃には、その赤黒くただれて腫れあがった顔をマスクとニット帽で隠すことなしにはもはや出歩くことができなくなっていました。もう顔から頭まで炎症で四六時中ほてっている状態。でも薬を塗らなければさらにひどく、体が震えるほどのほてりとかゆみに襲われる。何の有効な手立てもなく、気づけば発症から1年が経っていました。

この先、副作用に目をつぶってでもきつい薬を塗り続け、一生人目を避けて生きていくしかないのだろうか。絶望的な気持ちでなかば自暴自棄になりかけていた、その頃です。漢方の素晴らしい先生に出会ったことで風向きが変わりました。当時すべてに対して疑心暗鬼になっていた僕の話を先生は毎回さえぎることなくじっと聞いてくれました。もちろん漢方薬ですから効果はすぐには現れませんでしたが、この人が言うのなら信じてみようと思わせる何かが先生にはありました。

そして悩みに悩んだ末、もうステロイドやプロトピックには頼らないと覚悟を決めました。いわゆる脱ステです。金銭的なこともあり、漢方での治療は1年半ほどで卒業しましたが、この先生に巡り会えたのは本当に幸運でした。恩人です。

とはいえ、最初のうちはまさに地獄のような日々。想像を絶するリバウンド。顔中が火を噴くように熱を持ち、熱さとかゆさで頭がおかしくなりそうでした。いっそのことクスリを使ってしまった方が楽なのかも。。。そんな考えが幾度となく頭をよぎりました。

そんな時期をフラフラになりながらもなんとか乗り越えたかと思いきや、こんどは顔のみならず頭までもがかさぶたのようなものでびっしりと覆われ、しばらくするとそれがボロボロと剥がれ落ち。。。さながら半魚人もしくはゾンビのようでした。ほてりは随分治まったものの、まさにホラーです。鏡なんか見れたものではありませんでした。ついうっかり鏡に映る自分の顔を見てしまった時などは、本気で鏡を叩き割ってやろうかと何度も思いました。

そして気づけば軽い引きこもりです。四十半ばでまさかの引きこもり。
笑い話にもなりません。

もちろんその間も自分で試せそうなものは片っ端から試していきましたが、依然として続くほてりとかゆみをこらえながら、ただただ治るのを信じて待つだけの日々が続きました。かさぶたは剥がれてはまたでき、剥がれてはまたできてを幾度となく繰り返し、徐々に治まりつつ今に至りますが、その間なんと5年‼

仕事でどうしてもの時とせめてもの運動不足解消にと陽が落ちてからウォーキングに出かけるとき以外は完全に引きこもっていました。そういう意味ではアトリエにこもって作業に没頭することが許される革職人という仕事に救われました。加えて、古き時代の面影が残る昭和町の落ち着いた雰囲気にも救われました。

そして何よりも、時に感情をコントロールできなくなってしまうこともあった僕を黙って辛抱強く見守り続けてくれた嫁、どんよりしがちな空気をなごませてくれた息子、さりげなく支えてくれた友人には本当にいくら感謝しても感謝しきれません。みんなの後押しがあったからこそ今があります。

あのひどかった頃にくらべれば今ではかなり回復しましたが、まだ完治はしていません。まだもうしばらくかかりそうですし、もとが原因不明なだけに正直再発の不安は拭えません。ですが、自分の体との付き合い方、規則正しい生活や口に入れる物の大切さ、引きこもらざるを得ない人の気持ちなど、今回のようなことにならなければ分かり得なかったであろう沢山のことを知ることができました。

加えて、ものづくりのことや仕事のこと、ひいては生き方を見つめ直すいいきっかけとなりました。「引くこと」「何もしないこと」「あるがままでいること」の大切さに気づけたような気がします。これまではあまりにも「足すこと」「飾り立てること」に囚われていたなと。

そしていちばんの気づきは、自分がただ単にものをつくるのが好きなのではなく、その先には必ず誰かの存在、誰かの喜ぶ姿があったということ。これまでずっと目的だと思っていたことが、実は手段でもあったという事実。これは僕にとってはちょっとした衝撃でした。

「ものづくりを通して誰かと喜びや楽しさを共有したい」という想いが自分の中にこんなにも強くあるんだと気づけたこと、これは本当に大きな収穫でした。このことが今回、『革小物手縫いの会』を始めるうえので大きな原動力となりました。

『きっと、それまでガムシャラにただやみくもに突っ走っていた僕をみて、神様がグッとハンドブレーキを引いてくれたんだと思います。少々手荒な引き方でしたが、おかげで死なずにすみました。』

何年後かに振り返ったとき、笑ってそう言えるようになっていたいなと思います。

※僕の場合はステロイドやプロトピックがびっくりするくらい体質に合わずに大変な思いをしましたが、すべての方に当てはまるわけではないと思います。実際にステロイドをうまく利用してよくなる方もたくさんおられます。脱ステもたまたまうまくいきましたが、あの壮絶なリバウンドのことを考えるとむやみにお勧めできるものではありません。あくまでも個人の体験談とお考えいただければ。。。
安易にご自身だけで判断なさるのは絶対にお止めくださいね。一緒に頑張りましょう。


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